
吹抜けをつくると、とても開放的な気持ちの良い空間になります。
また、断熱性の良い建物だと熱を上下に移動させやすくなります。
例えば、日当たりのよい1階で暖まった熱や暖房した熱を2階に運びやすくなるので、2階のが暖房せずとても暖かい空間になるケースです。
しかし、構造上は吹抜けにある建物はない建物に比べはマイナス面ばかりです。

出典:構造塾(エムズ構造設計)
箱をイメージするとわかりやすいのですが、吹抜けは箱の「ふたに空いている穴」です。
箱のふたに穴が開いていると、力を加えた際に壊れやすくなるのは何となくイメージできると思います。
専門用語では「水平構面」と言います。
2階の床や屋根、火打ちが建物でいうところの「ふた」地震や台風で生じる水平力に対して対抗します。

出典:構造塾(エムズ構造設計)
水平構面は、地震力や台風の風圧力を耐力壁に伝える役割で、とても大事です。
つまり、いくらたくさん筋交い等の耐力壁をいれても、それに見合った「ふたの強さ」がないと耐力壁は機能しないことになります。
吹抜けだけではなく、階段も「穴」です。
よって、吹抜けだけではなく階段の配置も構造上とても大事です。

出典:構造塾(エムズ構造設計)
よって「3面外壁に面している吹抜け」は構造的に成り立ちません。
住宅雑誌やテレビで3面吹抜けの建物を見ることがありますが、構造的にはNGの可能性が高いです。

出典:構造塾(エムズ構造設計)
そういう建物が合法的に建っていることの理由は、仕様規定では水平構面の計算が求められていないことかもしれません。
許容応力度計算や品確法の計算では、水平構面の設計が求められます。
しかし、仕様規定では耐力壁の量は簡易計算しますが、水平構面を設計は不要です。
構造計算をすると、プランの自由度が奪われるという意見がありますが、実際計算してみると必要ことがされていないだけです。
住まわれる方は素敵な吹抜けがあるが安全性に難がある建物は望んでいないと思います。
まずは計算方法ではなく、安全な計画をすることが大事だと私たちは考えています。